アンテルナシオナル・シチュアシオニスト第11号(1967年10月)

アルザス・イデオロギー

訳者改題 ガルノー派が、除名後に出した数10枚もの回状やビラのなかに積み重ねた何千行もの文章は、それまでのシチュアシオニストの出版物からこっそりと切り取ってきた反論の余地のない断言──もっともそれらは、そこではまったく見当違いのやり方で使われて…

『アルザス・イデオロギー』訳者解題

同時代のドイツの観念論哲学を批判したマルクスの『ドイツ・イデオロギー』をもじったタイトルのこの文章は、ストラスブールで陰謀的な分派活動を行って、SIを除名されたジヤン・ガルノーらのグループの行状を暴露し、今や、自分たちの行動を正当化するた…

FAの分裂

あらゆる噂がアナキスト連盟〔FA〕*1のなかで故意に流され、ボルドー大会*2でまで声高に叫ばれたが、その噂に反して、この「連盟」を分裂させようとするいかなる種類の「シチュアシオニストの陰謀」も存在しなかった。この連盟は、われわれの目には、常に…

オランダにおける反乱と回収

訳者改題 有名だが束の間の命しかなかった「プロヴォ」*1の運動は、『フィガロ・リテレール』紙(66年8月4日)が暴露した新事実から、ベルギーの雑誌『サンテーズ』4月号の、これまたかなり情報通の記事にいたるまで、しばしばSIと関連づけられてきた…

『オランダにおける反乱と回収』訳者解題

1965年から67年5月まで、オランダの主としてアムステルダムで活動した〈プロヴォ〉については、そのスペクタクル的とまで言える華々しい行動によって当時のヨーロッパのジャーナリズムでも注目を浴び、その後も、現在に至るまで、さまざまな形で神話…

CNTにおける裏切りについての詳細

ブルジョワジーやスターリン主義者、その他の多くの者が、フランコの国家を、より合理的な形態の先進資本主義に継がせるために、ブルジョワ民主主義の神聖同盟(ユニオン・サクレ)を作ろうと試みていることに関して、われわれは、『アンテルナシオナル・シ…

ICOを読む

われわれは、『労働者情報通信』*1〔ICO〕を発行している〈企業間再結集〉(住所は、パリ19区ラボワ=ルイヨン街13の2、ブラシエ)の同志たちを直接知っているわけではないが、現在の労働者の闘争を理解するためにICOを読むことを切に薦めたい (…

2冊のシチユアシオニスト理論書について

ラウル・ヴァネーゲムは、『アンテルナシオナル・シチュアシオニスト』誌第10号(84ページ〔本書260ページ〕)に掲載されたガリマール出版社からの手紙に対して、彼の「計画」も、彼が『若者用処世術概論』*1を書いた時の「雰囲気」も、雑誌『アンテ…

われわれの普及について

パンフレット『学生生活の貧困』のフランス語版第1刷1万部が2ヶ月のうちに売り切れたので、SIは3月に、その第2刷を同じく1万部印刷した。このパンフレットは、その後数ヵ月にさまざまな国で翻訳され再版された。イギリスでは、その最初の全訳に続い…

SIの金

われわれの同志チャールズ・ラドクリフ*1は、贋金を発行したしたかどで、つい最近ロンドンで告訴された。彼が、アメリカのヴェトナム戦争に反対するビラ作りに参加し、ビラの用紙に1ドル紙幣のファクシミリ版を用いたことが問題だったのだ。イギリスのアメ…

書店の貧困

われわれは、「老いたるモグラ」書店*1からわれわれの出版物を引き上げねばならないと思った。書店の持ち主は、あまりに多くの革命的抱負を抱いていたので、店に並んでいる本に対して中立的な書店主だとは見なされなかったが、活動の点ではあまりに厳密さを…

前号への6つの追加事項

ニューアークとデトロイトにおける黒人蜂起*1は、ワッツ地区での反乱についての1965年のわれわれの分析を、どれほど疑い深い者の目にも裏付けてくれたように見える。特に、多くの白人が略奪に参加した事実は、ワッツ事件がその最も深い意味において、ま…

UGACとその民衆

3月に、数名のシチュアシオニストが「アナキスト−共産主義者グループ連合」〔UGAC〕*1(住所は、パリ10区、私書箱114、エディット・ダール)のメンバーたちとたまたま出会い、今後の議論を進めてゆくという原則を受けいれたが、自分たちの批判は手…

あるモラリスト

『フロン・ノワール〔黒色戦線〕』*1誌の元編集長ジャノヴェール*2──今や「カイエ・ド・フロン・ノワール」誌 第1号*3の唯一の著者のようだが──はモラリストである。たとえ、それがマルクスの著作に関するかの有名な「倫理的」説明を、リュベル*4から拾い集…

容易に予見できるいくつかの拒否

われわれが断罪してきたまさにその体制のなかに何らかの軽蔑すべき展示場所を取ってやるとわれわれに申し出ねばならないと信じている者がいるが、そうした輩に対して、われわれが突きつけた拒否のいくつかをここで指摘しよう。もちろん、情報を流すことの利…

アクセロスが弟子を見つけた時

1966年6月、ブリュッセルの「国際詩学研究所」の紀要第55号には、雑誌「アルギュマン」の元編集長──これですべてが言い尽くされている──コスタス・アクセロス*1の文章と並んで、ジャック・ダルカンと名乗る人物の論文も掲載されていた。この論文は、…

最近の除名

第7回大会は、7月にヤン・ストリイボッシュ *1(オランダ)を除名した。理由は、ルディ・レンソン*2のSIへの復帰を求めたためである。レンソンは、1年以上、完全な無活動状態であり、さらには、端的に失踪状態でさえあったがゆえに、満場一致でずっと以…

革命組織に関する最小限の定義

(この定義はSl第7回大会で採択された) 革命組織の唯一の目的は、社会の新たな分割を惹き起こさないような方法によって、既存の諸階級を廃棄することにあるということを考慮して、われわれは、〈労働者評議会〉の絶対権力──今世紀のさまざまなプロレタリ…

第7回大会

SI第7回大会は、1966年7月5日から11日までパリで開催された。 議論されたのは、次のような問題である。SIの組織化。組織化一般。現時で出現しているいくつかの革命潮流とわれわれの関係を発展させること。この発展のプロセスの現状と、その現状…

偽物

われわれは、シチュアシオニストとはいかなる種類の関係も持ったことがないにもかかわらず、さまざまな目的から、あちこちでSIのメンバーとして通してきた者が何人もいることを、指摘するのが有益だと思う。 彼らの言うことを聴く者たちも、この種の訴えを…

SIについて最近下された判決選

AFGES*1議長アンドレ・シュネデールは、同志を代表して発言し、同協会〔AFGES〕の解散が現執行部の主要目標の1つであると宣言した。なぜなのか。解散を宣言するために発表されたコミュニケのなかで明言されているように、学生組合運動に対する軽…

実践的真理を目的とすること

新しい革命勢力に理論的かつ実践的一貫性のモデルを示そうとして、SIは、そのような一貫性を自分たちの共通のプロジェクトの最も進んだ実験段階としている──あるいはそう認識している──たちのまったくの不履行や不十分さや妥協を、除名や絶交によって、罰…

ストラスブールのスキャンダルにおけるわれわれの目的と方法

訳者改題 シチュアシオニストのパンフレット「学生生活の貧困」*1はフランス全学連〔UNEF〕*2のストラスブール支部の資金で発行されたが、このパンフレットに対してはさまざまなかたちで驚愕と憤慨が表明された。これらの反響はパンフレットにある主張を…

『ストラスブールのスキャンダルにおけるわれわれの目的と方法』 訳者解題

ここに「ストラスブールのスキャンダル」としてその経緯が詳しく述べられている事件は、68年フランスの「5月革命」の歴史を扱ったほとんどすべての書物で、60年代末のフランスでの学生反乱の最も早い現れであり「5月革命」の内容と手法を先取りする先…

2つの地域戦争

訳者改題 イスラエル・アラブ戦争は、ヴェトナム戦争への抗議という大々的なスペクタクルを分かち合った左翼の良心に対して現代史が仕掛けた、たちの悪い企みであった。FNL〔南ヴェトナム解放戦線〕のうちにアメリカ帝国主義に刃向かう「社会主義革命」の…

『2つの地域戦争』訳者解題

1967年6月5日のイスラエルによるアラブ諸国(ヨルダン、アラブ連合、シリア) への奇襲攻撃に始まり、イスラエルの圧倒的な戦力によって、わずか6日間でアラブ側の敗北に終わった第三次中東戦争(6日戦争)と、66年6月以降の米軍による北爆拡大と…

低開発国での革命についての世論の誤りを修正するのに役立つ貢献

1 ブルジョワジーのすぐれて革命的な役割は、後戻りできない決定的なやり方で、経済を歴史の中に導入したことにある。この経済の忠実な主人=妾(メットレス)であるブルジョワジーは、その出現の時点から、「普遍史」の実際上の主人=妾(メットレス)──た…

完成した分離

訳者改題 「しかしもちろん、われわれの時代は(……)事象よりも形象を、原像よりも写しを、現実性よりも表象を、本質よりも外観を好む(……)。なぜかといえば、現代にとって神聖なものはただ幻想だけであって、真理は世俗的なものだからである。それどころか…

『完成した分離』 訳者解題

ここに掲載されたギー・ドゥボールの「完成された分離」というタイトルの34の断章あるいはテーゼは、最後の付記にあるように「スペクタクルの社会」(拙訳、平凡社、1993年)の第1章を構成するものである。「スペクタクルの社会」という概念そのもの…

シチュアシオニストと政治および芸術に反対する新しい行動形態

訳者改題 これまでわれわれは主として前世紀の革命闘争から受け継がれた形式やカテゴリーを使って体制転覆活動に主たる努力を注いできた。われわれの異議申し立ての表現を過去に何ら準拠することのない手段によって補足することを私は提案する。哲学の乗り越…