アンテルナシオナル・シチュアシオニスト第6号(1961年 8月)

シチュアシオニスト情報

昨冬発行された雑誌『ディセント』(第8巻 第1号)のある記事の冒頭で、エドウィン・M・シュアー*1は、妄想を帯びた驚きをもって述べている。「麻薬にふける者は、しだいに現代のスケープゴートであると同特に前衛の英雄にもなっている。ジャック・ゲルバ…

都市計画に反対する論評

ある専門家──ションバール・ド・ローヴェ*1──の意見では、正確な実験によって、次のことが確証されているそうだ。すなわち、計画立案者によって提案された計画は、場合によっては、不満と反乱を引き起こすが、そうした不満や反乱は、もしわれわれが人々の現…

パタフィジック、形成途上の宗教

訳者改題 宗教の歴史は3段階から成ようである。いわゆる物質主義的宗教ないし自然宗教は、青銅器時代に完成の域に達していた。形而上学的(メタフィジック)宗教は、ゾロアスター教とともに始まり、ユダヤ款、キリスト款、イスラームを通じて発展し、16世…

『パタフィジック、形成途上の宗教 』訳者解題

後の付記にあるように、この論文はアスガー・ヨルンがSIを脱退する直前に書いたもので、ここへの掲載の時点では、彼はもはやSIのメンバーではない。にもかかわらず、ここにヨルンの論文が掲載されたのは、ヨルンという人物とSIとの特別なとも言える関…

文化における社会的抑圧について

公認の欺瞞を単に再生産するだけではない現代の芸術家は、個人としてはみな、程度の差こそあれはっきりと社会生活の枠外へ打ち捨てられている。それは、彼らが、どれほど空しく断片的な手段を通じてであっても、社会生活の意味の問題、社会生活の使い方の問…

日常生活の意識的変更のパースペクティヴ

訳者改題 日常生活を研究することは、その日常生活を変革するために研究することを明確に自らに課すのでなければ、完全にばかげた企てとなるだろう。まず何よりもそれは、その対象を何1つ捉えることができないことを運命づけられることになるだろう。 講演…

『日常生活の意識的変更のパースペクティヴ』 訳者解題

最後の付記にあるように、ドゥボールのこの論文は、パリの国立科学研究所(CNRS)の社会学研究センターでアンリ・ルフェーヴルの主宰していた日常生活研究グループのセミナーで、テープレコーダーを使って発表されたものである。ルフェーヴルは、194…

統一的都市計画事務局の基本綱領

訳者改題 1 都市計画の虚無とスペクタクルの虚無 都市計画(ユルバニスム)は存在しない。それは、マルクスのいう意昧での「イデオロギー」にすぎない。建築は現実に存在する。コカコーラのように。それは、イデオロギーで包まれているが、偽造された欲求を…

『統一的都市計画事務局の基本綱領』 訳者解題

アッティラ・コターニィとラウル・ヴァネーゲムの筆によるこの「基本綱領」は、ロンドンで聞かれたSI第4回大会での「統一的都市計画事務局に関する決議」を受け、アムステルダムからブリュッセルに移転して再出発した〈統一的都市計画事務局〉の宣言的綱…

無条件の防衛

若者の危機は、あらゆる現代の国々で、公認の関心事となった。この事実ひとつだけで、どれはどの軽信家も、人々を統合する消費社会の試みに勝運があるとは信じなくなるだろう。若者たちの徒党の形成という極端な事例については、地図上でそれらが「団地」の…

ふたたび、解体について

訳者改題 文化の生産はとこまで進んだか? 過去12ヵ月の間に起こった現象を、SIが数年前に行った解体の分析(「不在とその飾り立て役」『アンテルナシオナル・シチュアシオニスト』誌 第2号1958年12月を参照のこと)に突き合わせてみると、われわ…

『ふたたび、解体について』 訳者解題

『アンテルナシオナル・シチュアシオニスト』誌 第2号の「論説」の1つに掲げられた「不在とその飾り立て役」)に続き、シチュアシオニストはここでふたたび自らが「解体」派と呼ぶ前衛芸術家らを批判する。しかし、前回の批判と今回の批判とでは、その批判…

『武装のための教育』訳者改題

フランスでは、1936年のレオン・ブルムの人民戦線内閣によって、年間15日間の有給休暇の制度が法律で定められ、労働者にとっての「余暇」の権利が生まれたが、当初は、実際にこの権利を享受したのは、そのための蓄えと精神的ゆとりを持った少数の者に…

武装のための教育

訳者改題 革命を語ることに何か滑稽なところがあるのは、明らかに、組織的な革命運動が現代の国々からずっと昔に消え去ったからである(そうした国にこそ、社会を決定的に変革する可能性が集中しているのであるが)。しかし、それ以外のことはすべて、それよ…

『都市計画の批判』訳者解題

初期のシチュアシオニストの都市計画への関わりは、『アンテルナシオナル・シチュアシオニスト」誌 第1号に掲載されたジル・イヴァンの文章「新しい都市計画のための理論定式」やコンスタントの唱えた都市計画「ニュー・バビロン」(本書第1巻「もう1つの…

都市計画の批判

訳者改題 以前からシチュアシオニストは「統一的都市計画とは都市計画上の1学説ではなく、都市計画の批判である」(「アンテルナシオナル・シチュアシオニスト」誌 第3号〔1950年代末の都市計画〕)と言ってきた。現行の専門化された都市計画の修正とし…