アンテルナシオナル・シチュアシオニスト第9号(1964年 8月)

アンテルナシオナル・レトリスト 2

訳者改題 マニフェスト レトリストの扇動はいつでも時間をつぶすのに役立っている。革命思想はどこか他のところにあるのではない。われわれはちっぽけな騒動を文学の限られた限界を越えたところに追求するが、それはやむを得ないことである。われわれがさま…

サイバネティクス研究者との往復書簡

訳者改題アブラハム・A・モール──便箋のレターヘッドから判断すると、文学博士(哲学)、科学博士(物理学)、技師、教授助手(ストラスブール大学)、EOST教授──は、1963年12月16日、次にあげる、『シチュアシオニスト・グループヘの公開書簡…

『サイバネティクス研究者との往復書簡』 訳者解題

ここに掲載されたアブラハム・モールのSI宛ての手紙と、それに対するドゥボールの返答は、サイバネティクスという第二次大戦後に生まれた新しい体制的学問の研究者──「サイバネティクス cybernetics 」の語源は「操作・操縦・統治 kubernân」の技術である─…

社会実験芸術センターのアンケートに対する回答

1 どうして、民衆は自分が芸術に関わりがあると感じないのでしょうか? どうして、芸術はブルジョワ階級のいくつかのの教養ある階層の特権のままなのでしょうか? 〈社会実験芸術センター〉のこのアンケートのテーマの重要性と、回答に与えられた限られたス…

遠方からの手紙

訳者改題 イワン・シュチェグロフ*1は、シチュアシオニスト運動の源流となる探究に参加したが、彼の役割は、当初の理論の素案作りにおいても、実際の行動(漂流の実験)においても、かけがえのないものだった。ジル・イヴァンという名で、彼は早くも1953…

『遠方からの手紙』 訳者解題

イワン・シュチェグロフ、別名ジル・イヴァンについては、本書第1巻45頁以下の訳者解題に書いたように、1953年、19歳の時にドゥボールらのレトリスト・インターナショナル(LI)に参加、漂流実践の最もラディカルな担い手として活動するとともに…

最も長い月日(63年2月−64年7月)

*1 1963年3月、SIは雑誌『アルギュマン』*2の廃刊について、『歴史の屑かごへ』*3と題された資料を発行した。この資料の中には、「コミューンについて」*4というシチュアシオニストの文章とならんで、アンリ・ルフェーブルが自分の署名の下に『アルギ…

質問表

1 「シチュアシオニスト」という語は何を意味するのか? この単語が規定するのは、状況を作ろうとする活動であって、説明的な価値とか、何か別の価値として状況を認識しようとする活動ではない。しかも、それを、社会的な実践のあらゆるレヴェルで、個人史…

純正ムース

*1 以下に挙げる抜粋は、心理操作と権力の専門家の滑稽な隠語のなかに組み入れられた、われわれの展望の、さらに、時には、われわれの表現の、転用の試みの良い例である。そこには、質が矢けていることは、誰の目にも明らかだ! 愚行のありとあらゆる心理テ…

われわれの語る世界3

訳者改題 利用可能な革命モデルのあいだの選択 スターリ二スムがいくつかの互いに対抗する潮流へと分裂し、官僚主義の利害を、経済と政治のさまざまな発展段階(フルシチョフ、毛〔沢東〕、トリアッティ*1)の中に表現している現在、それら相互の非難の応酬…

われわれの語る世界2

訳者改題 不在とその飾り付け役(続) 現代美術の運動はすべてを無に、沈黙に還元する方向に向かって歩んできたが、それと同時に、この解体の産物はますます多く利用され、いたるところに陳列され、「伝達され(コミュニケ)」ねばならない。というのも、こ…

われわれの語る世界1

訳者改題 われわれの築き上げる新しい理論は、同時代の順応主義者の眼にはどれほど突飛で途方もないものに見えたとしても、新しい歴史的契機の理論以外の何ものでもない。この契機は、すでに存在している現実であるが、厳密な批判の進歩によってはじめてそれ…

『われわれの語る世界』 訳者解題

この「われわれの語る世界」は、新聞・雑誌記事の純粋な引用によって成り立っているが、一見雑多なそれらの引用文も、「孤立の技術」とか「意志と表象としての都市計画」というようなユーモアの利いたタイトルと、SIによる鋭い解説によって、現代世界の不…

今、SI

「それぞれの時代はその時代の人間的機材を自ら作り出す。だから、もしわれわれの時代が理論的作業を真に必要とするなら、それは自らを満足させるために必要な力を自ら創造するであろう。」ローザ・ルクセンブルク*1、1903年3月14日付『前進』より。 …