アンテルナシオナル・シチュアシオニスト第2号(1958年 12月)
本節の記述の背景にある1958年のフランスの政治情勢の6月初めまでの出来事は、本書の「あるフランスの内乱」の訳者解題で述べたとおりだが、その後の展開をごく簡単に要約しておく。植民地アルジェリアでは軍と民族解放運動とが戦争状態にあったが、この年…
G=E・ドゥボールのこの論文は最初、1956年に、ドゥボールらがレトリスト・インターナショナルの活動を行っていた時期に、ベルギーの雑誌『裸の唇』第9号(1956年11月)に、ギー=エルネスト・ドゥボールの名で発表された。『裸の唇』は、ベルギーのシュル…
ここに描写される「レ・アール」とは、シテ島の北、パリ4区から1区にかけて、現在、フォーラム・デ・アールのある場所の周辺で、ここには1969年に取り壊され郊外に移転するまで、エミール・ゾラの『パリの胃袋』で名高い巨大な中央卸売市場(レ・アール・サ…
SI創立時に29.5歳より少し高かった平均年齢(わずか4年前の1953年夏、レトリスト・インターナショナルの平均年齢は21歳よりわずかに低かった)は、たった1年の間に32歳を上回るまでになった。* 本誌編集委員会の委員の交代(ピノ=ガッリツィオからヨル…
ここに報告されている「コブラ」運動は、1948年11月、パリに来ていたアスガー・ヨルンやドトルモン、コンスタントら、デンマーク、ベルギー、オランダで、第二次大戦直後からそれぞれ実験的な芸術運動を行っていた者たちが結成したグループである。 ヨルンは…
訳者改題 シチュアシオニストのさまざまな手法のなかでも、漂流という手法は、変化に富んだ環境のなかを素早く通過する技術という様相を呈している。漂流の概念は、心理地理学的性質の効果を認めること、遊戯的=創造的行動を肯定することと分かちがたく結び…
「すべてに優る詩」と題するテクストとともに、ペレ*1は、シュルレアリストの会誌『ビエフ』*2第1号の巻頭を、シチュアシオニストに対する反撃で始める。彼の言では、まるでシチュアシオニストが詩と芸術を科学の「監督」のもとに置くという愚にもつかぬこと…
訳者改題 1958年、一種の陰謀が、新たな前衛運動の開始をめざしているが、その運動の特筆すべき点は、7年前に終わっているということである。それは「コブラ」のことだ。その運動の紹介は、決して明確な言葉ではなされず、むしろ、その運動の現存を含意する…
訳者改題 いまや、新しい文化の作戦領域と、生の環境の直接的創造という展望のうちに位置づけられない創造の努力は全て、何らかの意味でまやかしである。伝統的な美的分野の衰弱という背景のもとで、ついには、ただ署名入りの空無によって自己を表現するに至…
訳者改題 ブルジョア議会共和政がフランスで抵抗なく一掃された後、革命的知識人は声をそろえて、労働者政党、組合、夢遊病的イデオロギー、および左翼の神話の総崩れを糾弾した。ただ1つ、彼らにとって指摘するほどのことではないように見えたのは、彼ら自…
われわれの集団的行動の中心に現在ある緊急の責務とは、われわれの特有の任務が何であるかを、つまり、文化と日常生活の発展における質的飛躍を、正しく理解させることである。われわれは、そのような意図が包含すること全てを検討しなくてはならないが、し…
10月、ヨルンはロンドンにいた。彼は、メキシコヘの出発に向けて準備していて、合衆国大使にニューヨークに立ち寄るためのヴィザを申請した。彼は以前から、アメリカのさまざまな文化団体から招聰の誘いを受けていた。彼は、かつて共産党や、それに類する組…
質問──「シュルレアリスムは死んだか、それとも、生きているか?」これが11月18日の「公開討論(セルクル・ウーヴェール)」の討議テーマとして選ばれたものだった。その会は、ノエル・アルノー*1の司会のもとで開かれた。シチュアシオニストも、討論に誰かを…
訳者改題 「事実、社会的関係はどんな些細な改良を施すにも、実に並外れた集団的エネルギーの動員を必要とする。この甚だしいギャップは、もしそれが真のすがたで大衆の意識に現れるなら、彼らを意気阻喪させてしまうことだろう。 こうした恐るべきギャップ…
以下にあげる3編の文書は、9月にコンスタントがSIに提起した論議の覚書である。2番目の文書はアスガー・ヨルンとの討論を受けて、本誌の編集委員会の見解を説明したものである。 1 ヨルンの書いたもの(「機能主義に反対する」、「構造と変化」等)を…
さる5月30日、トリノのある画廊で、ピノ=ガッリツィオの工業絵画(パンチュール・アンデュストリエル)の最初の数ロールが展示された。この工業絵画は、われわれのアルバの実験工房で、ジョルス・メラノッテ*1の援助のもとに生産されたものである。この展示…
以下の11項目は、シチュアシオニストの行動の最小限の定義を提供するものであるが、SI第3回大会へ向けての事前文書として討論に付されるべきものである。 シチュアシオニストは、文化において、そして、生の意味が問われるありとあらゆる場所において、…
ここで、シチュアシオニストが攻撃しているものは、50年代に世界的に広まった、芸術の解体へと向かう動きである。50年代末、美術の世界では、合衆国の前衛芸術は、アクション・ペインティングで知られる戦後の抽象表現主義から60年代のポップ・アートヘと向…