アンテルナシオナル・シチュアシオニスト第7号(1962年4月)

シチュアシオニスト情報

SI中央評議会(CC)は2月10日および11日、パリで開催された。CCの6名の委員(アンスガー=エルデは理由があって欠席)とパリにいた他の8名のシチュアシオニストが討議に参加した。イェーテボリ大会以降、ドイツ・セクションの何名かの構成員の…

次の段階

SIに現れた最も革命的な要素とは何か。最も革命的なというのは、最も多くの未来を孕んでいるという意味だ。さらに、どの方面が最も危機的な点なのか。この問いに答えるために、私はあたかも1人の哲学者と話をするかのように、SIの綱領を分析することに…

サンセット大通り

訳者改題 「煮え切らない態度でいてはいけません。アラン・レネ*1という名の模範的な映画作家(シネアスト)の最新映画を見るべきです。そうすれば、この秋の夜長の会話にも話題が尽きて困ることはなく、深い物思いに耽ることができるでしょう」──プルースト…

『サンセット大通り』 訳者改題

シチュアシオニストは、『アンテルナシオナル・シチュアシオニスト』誌 第3号の論文「アラン・レネ以降の映画」のなかで、アラン・レネの初期の2作品、すなわちアウシュヴィッツのドキュメンタリー映画『夜と霧』と長編第1作『ヒロシマ、わが愛』(195…

当たり前の基礎事実 その2

訳者改題8 専有〔=排他的所有〕は特殊と一般の弁証法に結びついている。奴隷制度と封建制度の諸矛盾が1つに溶け合っている神秘のなかで、とりわけ所有権から排除された無産者は自らの労働によって自らの生き延びを確保しようと努める。彼は主人の利害=関…

当たり前の基礎事実 その1

訳者改題1 官僚制資本主義はマルクスのなかに自らを合法的に正当化するものを見出してきた。ここで重要なことは、新−資本主義の諸構造──今日、これらの構造が再組織化されているということ自体のなかに、ソ連の全休主義に対する賞賛が含まれている──を強化…

『当たり前の基礎事実』訳者改題

「当たり前の基礎事実」(Banalite de base)と題されたこの論文は、後にシチュアシオニスト自身によって60年代のSIに新しい地平を切り開いた画期的な論文として高く評価されるものだが、ここではその著者ラウル・ヴァネーゲムについて簡単に述べておく。…

イェーテボリでのSI第5回大会

訳者改題 シチュアシオニスト・インターナショナルの第5回大会は、ロンドンでの大会から11ヵ月をへて、1961年8月28日から30日まで、イェーテボリ*1で開催された。9カ国のシチュアシオニストの代表として以下の者が出席した。アンスガー・エルデ…

『イェーテボリでのSI第5回大会』訳者解題

1961年8月末に、ストックホルムに次ぐスウェーデン第2の都市イェーテボリで開催されたSI第5回大会は、SI内部の「芸術」派と「革命」派との対立が公然化し、「革命」派が主導権を奪ううえで重要な大会になった。60年代のSIの運動は、ヨーロッ…

優先的コミュニケーション

権力の問題は、社会学および文化の諸理論では、とても巧みに隠蔽されているので、この分野の専門家たちは、コミュニケーションあるいは現代社会におけるマス・コミュニケーションの手段について何千ページもくだらないことを書き並べながら、彼らの言うコミ…

SIの役割   

われわれは完全に大衆的である。われわれが考察の課題とするのは、全大衆のなかで未解決におかれた問題だけである。シチュアシオニストの理論は、さながら水の中の魚のごとく人民の中にある。SIが思弁の砦を構築していると思っている人々には、われわれは…

悪しき日々は終わるだろう

訳者改題 スペクタクルの世界はその支配を広げるとともに、攻勢の頂点に達しているが、いたるところで新たな抵抗も引き起こしつつある。この抵抗はスペクタクルの攻勢と比べればけるかに知られるところが少ないが、それはまさに支配的スペクタクルの目的が、…

『悪しき日々は終わるだろう』 『SIの役割』『優先的コミュニケーション』 訳者改題

ここからの3つの論説──「悪しき日々は終わるだろう」、「SIの役割」、「優先的コミュニケーション」──は、それぞれが密接に関係しながら、60年代のシチュアシオニストの理論の大衆性と、その運動論・組織論を考えるうえで重要な論点を提出している。 「…

冬眠の地政学

訳者改題 競合する二大国家陣営間の「恐怖の均衡」──現時点での世界政治の本質的所与の内でも最も明白なものであるが──それはまた敵対する陣営それぞれにとっては、相手が永久に存続することへの屈服が均衡していることを意味し、国境内部では、1つの運命に…

『冬眠の地政学』 訳者解題

62年のシチュアシオニストの機関誌の冒頭を飾るこの論説「冬眠の地政学」(Geopolitique de I`hivernation)は、60年代初頭に東側でも西側でも爆発的に普及した核シェルターというグロテスクな物体を,単に冷戦下の社会に出現した特異な一事物として捉え…