アンテルナシオナル・シチュアシオニスト第1号(1958年 6月)

『あるフランスの内乱』訳者解題

ここに緊急アピールのようなかたちで発表されたシチュアシオニストの文章は、5月13日に始まったアルジェリア駐留フランス軍とフランス人入植者(コロン)によるクーデタの試みを受けてのものである。 アルジェリアでは、1954年からFLN(国民解放戦線)が…

『シチュアシオニストとオートメーション』訳者解題

元コブラの主唱者で、その後、「イマジニスト・バウハウスのための国際運動」(MIBI)を組織したアスガー・ヨルンのこの論文は、ここに初めて発表された後、1954年から58年にかけて書かれた他の9編の論文──「イマージュと形態」、「機能主義に反対して…

『映画とともに、映画に反して』訳者解題

ここに主張されているような、「状況の構築」のための映画の積極的利用、またそのための実験映画への関心は、シチュアシオニストの前身であるコブラとレトリス・トインターナショナルの時代からすでに見られたものである。 コブラは、1949年6月から7月にかけ…

『響きと怒り』訳者解題

1950年代後半は、ここに触れられているように、世界各地で若者たちの反抗が相次ぎ、ジェームス・ディーン主演の『理由なき反抗』(1955年)やエルヴィス・プレスリー(54年デビュー)の世界的ヒットに見られるように、「反抗」の身振りがモードとまでなった…

『何を読むための自由? くだらないもの。』訳者改題

1956年のソ連共産党第20回大会でのフルシチョフによるスターリン批判以降、東欧でも各国で政治の自由化に伴う文化・思想の自由化が現れた。ポーランドではポズナン暴動によって生まれたゴウムカ政権によって文化政策が緩和され、多くの新しい作家が作品を発表…

定義

構築された状況 統一的な環境と出来事の成り行きを集団的に組織することによって具体的かつ意図的に構築された生の瞬間。シチュアシオニスト(状況派・状況派の) 状況の構築の理論もしくはその実践活動に関すること。状況を構築することに努める者。シチュア…

シュルレアリスムの苦い勝利

訳者改題 本質的な変化を遂げなかった世界の枠内においては、シュルレアリスムは成功した。その成功は、ひるがえって、支配的な社会秩序の転覆以外のなにものをも期待していなかったシュルレアリスムを裏切ることになる。しかし同時に、その転覆に携わる大衆…

『シュルレアリスムの苦い勝利』訳者改題

1939年に第二次世界大戦が勃発すると、ブルトン、エルンスト、バンジャマン・ペレ、アンドレ・マッソンら、シュルレアリストの多くは次々と合衆国に亡命し、大戦期のシュルレアリスムの活動はニューヨークを中心としたものとなる。ドイツ軍に占領されたフラ…

無益な寛大さはごめんだ

われわれのような探求に従事している集団において、いわば知的で芸術的な体裁の協力関係を持つためには、多かれ少なかれわれわれのような日常生活の利用の仕方をせねばならないが、こうした協力関係には、常に何らかの友情が混ざっている。 したがって、最初…

遊びのシチュアシオニスト的定義試論 

遊びという概念を取り巻く語彙的混乱と実際的混乱を免れるためには、遊びという概念をその運動の中で考察しなければならない。遊びのもともとの社会的機能は、2世紀にわたってたゆまぬ生産の理想化により否定され続けた後では、もはや退化した遺物という様…

何を読むための自由? くだらないもの

訳者改題 文学と芸術への逃避、昔のブルジョワ的観点に従って定義されたこれらの活動の重要性の過大評価は、ヨーロッパの労働者国家[=東欧共産圏諸国]において非常に広まっている考え方のようである。それらの国においては、世界の現実的変化の企ての警察…

新しい操作技術の管理のための闘い

「今後は、人間の反応を、前もって決めておいた方向に確実に引き起こすことができるようになる」と、両世界大戦間に革命派とファシストが共に集団に対して使用した感化方法に関して、セルジュ・チャコティーヌ*1は書いた(『政治プロパガンダによる群衆の凌…

映画とともに、映画に反して

訳者改題 映画は現代社会の中心芸術である。映画の発展が、いろいろな新しい機械技術のたゆまぬ集積運動のうちに探求されているという意味においても、その通りである。それゆえ、映画は、逸話表現や形式表現としてのみならず、その物質的下部構造においても…

状況の構築のための予備的諸問題

「状況の構築は、スペクタクル概念の現代的展開を越えたところに開始される。非-介入というスペクタクルの原理そのものが、古い世界の疎外といかに深く結び付いているかは容易に見てとれる。それとは逆に、文化における革命的探求のなかで最も価値あるもの…

新しい都市計画のための理論定式

陛下、私は別の国から来た者であります。 おれたちは街で退屈している。太陽神殿はもう存在しない。通りすがりの女たちの股の間に、ダダイストならモンキーレンチを、シュルレアリストならクリスタルグラスを見つけたいと思ったことだろう。もうそんなものは…

文化革命に関するテーゼ

美学の伝統的目的は、剥奪と不在の状態において、芸術的媒介を通して、外観の混乱を免れたある種の過去の生の要素を感じ取らせることにある。外観とは、その場合、時間の支配をこうむるもののことである。美学的成功の度合いは、それゆえ、時間的持続と不可…

シチュアシオニストとオートメーション

訳者改題 現在まで、ほとんど誰ひとり、オートメーションについての思考をその最終的帰結までつきつめた者がいないというのはかなり驚くべきことである。まさにそれがゆえに、真の展望が見いだせないのである。むしろ、技術者も学者も社会学者も、オートメー…

インターナショナル・ニュース

シチュアシオニスト的騒擾のための出版物 1958年1月1日、ミュンヒェンにおいて、「心を落ち着けろ! 実験はもう要らない!」というタイトルでSIドイツ・セクションの最初の宣言が発表された。文化の偽の新しさの悲惨をかなり激しく告発したこのパンフレッ…

あるフランスの内乱

訳者改題 「私達の戸口にいるのはカティリナ*1ではなく死である。」P・J・プルードン、ヘルツェン宛て、1849年 この雑誌が印刷されようとしていた間に、重大な事件がフランスで突発した(5月13日〜6月2日)。今後の展開次第ではこの事件はヨーロッパにおけ…

響きと怒り

訳者改題 怒れる若者たちとか、今日の若者の怒りとかが、よく話題になる。人々は気軽にその話題を口にする。なぜならば、スウェーデンの青少年の理由なき暴動から、文学運動として続く気配のあるイギリスの「アングリー・ヤング・メン」が作成した声明文に至…