アンテルナシオナル・シチュアシオニスト第3号(1959年 12月)

シチュアシオニスト情報

SIオランダ・セクション(住所 アムステルダム・C、ポラクラーン25番地)は、シチュアシオニストの慣例に従ったテープレコーダーによる講演と、たいへん活発な討論をともなう2つのデモンストレーションを組織した。ひとつは、4月に建築アカデミーで、…

『工業絵画と応用可能な統一的芸術に関する講話』訳者解題

ここでは、ピノ=ガッリツィオという、シチュアシオニスト・インターナショナルの創設に大きな力となった特異な人物を紹介することで、訳者解題に代える。 ジュゼッペ・ピノ=ガッリツィオ(1902−64年)は、イタリアの画家、陶芸家、薬剤師、考古学者…

『もう1つの生活のためのもう1つの都市』訳者解題

ここにコンスタントが提出している都市の描写は、彼が1957年ごろから製作しはしめた、統一的都市計画に基づいた新しい都市計画のエスキスである。シチュアシオニストとしての彼は、アムステルダムの「統一的都市計画研究所」を拠点に、この時期、一貫し…

『否定としての、また予兆としての転用』訳者解題

「転用( detournement )」という概念は、レトリスト・インターナショナルのなかで確立された概念である。この記事でも触れられている「転用の使用法」(『裸の唇』誌 第8号、1956年5月)のなかで、ギー・ドゥボールとジル・ヴォルマンは、その歴史的意義を…

『アラン・レネ以降の映画』 訳者解題

『アンテルナシオナル・シチュアシオニスト』第3号が発行された1959年は、ヌーヴェル・ヴァーグの誕生の年でもある。この年の春のカンヌ映画祭で、トリュフォーの『大人は判ってくれない』が監督賞を、アラン・レネの『24時間の情事』が国際映画批評家大賞を…

芸術の消滅の意味 訳者解題

ここで問題となっていることの1つは、ヌーヴォー・ロマンや不条理演劇、抽象表現主義の極致としての純粋絵画、ジョン・ケージの沈黙の音楽や偶然の音楽など、あらゆる領域で「芸術の消滅」として現れてきた50年代前衛芸術の傾向に対して、当時のマルクス主…

『1950年代末の統一的都市計画』訳者解題

ここで冒頭に挙げられているマルセイユの「アヴァンギャルド芸術フェスティヴァル」とは、1956年8月にマルセイユ市の主催で開催された展覧会で、復興・都市計画省などの公的機関や観光産業の援助を得て、ル・コルビュジエの「輝く都市」の構想を入れた会場で…

芸術の消滅の意味

訳者改題 ブルジョワ文明は、いまや地球全体に拡がり、いまだどこでも乗り越えられるにはいたっていない。しかしこの文明には1つの影が憑きまとっている。すなわち、その文化が疑問に晒されているということである。このことは、現代の芸術におけるあらゆる…

否定としての、また予兆としての転用

訳者改題 転用、すなわち、前もって存在する芸術的諸要素を新しい単位のなかで再使用することは、今日の前衛に見られる一貫した傾向であり、これはSIの結成以前からそうだったし、その後も変わっていない。転用の2つの根本法則は、転用に供されるそれぞれ…

アラン・レネ以降の映画

訳者改題 目下フランス映画の世代交代を行いつつある映画監督たちの「新潮流(ヌーヴェル・ヴァーグ)」は、何よりもまず、芸術的な新味が完全に不在であること、そしてその不在が周知のものであることによって定義される。芸術的な新味などは、たんなる意図…

1950年代末の統一的都市計画

訳者改題 1956年8月、SIの結成を準備していた諸団体は、当時マルセイユで招集されていたいわゆる「アヴァンギャルド芸術フェスティヴァル」のボイコットを呼びかけるビラを連名で出したが、そのなかで同フェスティヴァルは、「20年後に1950年代の愚かさ加…

ミュンヒェンでのSI第三回大会

シチュアシオニスト・インターナショナルの第3回大会は、パリでの第2回大会(1958年1月)から1年3ヶ月をへて、1959年4月17日から20日までミュンヒェンで開催された。ドイツ・ベルギー・デンマーク・フランス・オランダ・イタリアのシチュ…

革命的知識人および芸術家へのアピールについての議論

ミュンヒェン大会のための準備作業の1つとして、「革命的知識人および芸術家に向けたSI第3回大会開会宣言」案がコペンハーゲンとパリで検討され、承認を得るべくミュンヘン大会の他の参加予定者に委ねられていた。ドイツ語、英語、そしてフランス語で書…

文化革命のための綱領

1 文化の問題、すなわち、結局のところ、文化を日常生活へと統合する問題は現在の社会を転覆する必要性と不即不離である。社会的かつ政治的な革命をしても、それだけでは不十分である、もし、このような変容に伴って、文化において同一の質的転倒が起き、革…

ミュンヒェン大会開会報告

レトリストたちが1953年頃、現在の都市環境で許容された行動の方面で遊戯を実験して以来、周囲の環境を、生活および変わりつつある生活習慣に関連させながら意識的に構築しようとする考えが、統一的都市計画を作ろうという考えに至りついた。われわれが…

11項目のアムステルダム宣言採択にあたって加えられた訂正

前号に発表されたアムステルダム宣言は、以下のような修正を経てミュンヒェン大会で採択された。 第1項は、「(……)反動的なイデオロギーと勢力に対して、あらゆる機会を捉えて対決していかなければならない」に代えて、「シチュアシオニストは、文化におい…

SIオランダ・セクション第1声明

なんらかの文化的な活動の展開を探究するにしても、社会全体にまで及ぶような総体から出発しなければ、もはや意味はない。戦後のあらゆる前衛理論の基礎にあるこのような思考こそ、それ以前の時代の前衛との違いをはっきりさせる特徴である。第二次大戦以来…

工業絵画と応用可能な統一的芸術に関する講話

訳者改題 「ウィルソン大統領大通りの南側にある近代美術館の2つの建物を分ける小さな広場で、絵を描く奇妙な機械が先週の木曜日、パリ・ビエンナーレ開催日の前日に始動した。足車つきの三脚台の上に組み立てられたこの機械は、遠くから見ると、カルダー作…

交通に関するシチュアシオニストの立場

1 あらゆる都市計画専門家の欠点は自家用車を(それからスクーター型の副産物を)本質的に輸送手段とみなすことにある。自動車というのは本質的に、高度資本主義によって社会の総体に普及される傾向にある1つの幸福観の主要な物質化である。疎外された生活…

もう1つの生活のためのもう1つの都市

訳者改題 都市計画の危機はその深刻さを増している。新旧の地区における構築物が、既成の行動様式に対しては無論のこと、われわれが探求している新たな生活様式に対してはそれだけ一層、明らかな不調和を呈しているのである。われわれの周囲の環境が陰気で不…