2冊のシチユアシオニスト理論書について

 ラウル・ヴァネーゲムは、『アンテルナシオナル・シチュアシオニスト』誌第10号(84ページ〔本書260ページ〕)に掲載されたガリマール出版社からの手紙に対して、彼の「計画」も、彼が『若者用処世術概論』*1を書いた時の「雰囲気」も、雑誌『アンテルナシオナル・シチュアシオニスト』のなかに最もよく表現されているとだけ答えた。出版者らは、すぐに原稿を送り返してきたが、その際、彼らが決定的判決の動機として付けてきた2つの留保条件──もっとも、彼らはすでに以前からそうせねばならないと思っていたのだが──は、「冗長な繰り返し」が多いということと、二部構成が「人為的」だというものだった。数週間が過ぎ、ガリマール出版社は、われわれにはいまだに見当もつかない理由から、完全に前言をひるがえした。つまり、同じ原稿を送るよう再び頼んできて、ヴァネーゲムにすぐに契約にサインしてくれと申し出てきたのである。この契約のサイン以来、すでに1年が経ち、本はまだ出ていない。この分だと、1968年のはじめにならないと出ないだろう。周囲の環境が拡大すれば、それに伴いこうした新しい問題の展開も加速してゆくものだが、会社運営上ののろま振りからすると、このような事態の変化にいくら遅れを取ろうがお構いなしなのだ。
 先の経験に教えられ、ギー・ドゥボールは、ヴァネーゲムよりずっと後に『スペクタクルの社会』を仕上げていたのだが、まず手始めにこの本の出版話をピュジェ=シャステル出版社に持ってゆくことにした。この出版社は、ガリマール社よりもずっと問題に精通しているので、この本をできるだけ早い時期、11月には出すだろう。

*1:『若者用処世術概論』 1967年秋にガリマール書店から刊行されたラウル・ヴァネーゲムの著書。