SIの金

 われわれの同志チャールズ・ラドクリフ*1は、贋金を発行したしたかどで、つい最近ロンドンで告訴された。彼が、アメリカのヴェトナム戦争に反対するビラ作りに参加し、ビラの用紙に1ドル紙幣のファクシミリ版を用いたことが問題だったのだ。イギリスのアメリカ大使館がイギリス当局に介入して、こうした罪状の犯罪をものにしたのは、どうやら、CIA要員がパリで作成した文書に基づいてのことらしい。したがって、われわれの資金源についてあちこちでもち上がってきた半ば神話的な古い諸問題に対する最終的解決を、この偶発的事件のなかに見出すとすれば、それは完全に間違いだろう。ラドクリフは、地下に潜って数ヵ月を過ごした後、今は一時的に自由の身である。

*1:チャールズ・ラドクリフ イギリスのシチュアシオニスト。SIに加盟する前には、アナキストとして英国の雑誌「アナーキー」にいくつかの論文を書き、1966年7月発行のイギリスの雑誌「フリーダム」誌に「ロンドンのプロヴォ」という記事を沓いたりもしている。67年7月にクリストファー・グレイとともに『ヒートウェイヴ』誌を発行して以降、シチュアシオニストに接近しSIに加入した。1967年11月に除名