『芸術の革命的評価のために』 訳者解題 

 『芸術の革命的評価のために』は、『社会主義か野蛮か』誌 第31号(1960年12月)にS・シャテルがゴダールの映画『勝手にしやがれ』について書いた映画批評に応えるものとして、1960年2月にドゥボールが執筆したテクストである。このテクストは、この時期、〈社会主義か野蛮か〉と接触を持ち、議論を重ね、その1つの成果としてピエール・カンジュエールとドゥボールとの連名で『統一的革命綱領の定義に向けた予備作業』(1960年7月20日)という一種の共同綱領を発表するにまでいたっていたSIが、議論の深化を目的とした内部文書として両グループのそれぞれのメンバーに配布したものである。当初、これは外部には公表されなかったが、1962年春に、ボルドーの〈革命研究指導会報〉である『ノート・クリティック』誌に、先に挙げたカンジュエールとドゥボールの『統一的革命綱領の定義に向けた予備作業』とともに掲載された。翻訳は、最初、フランス語版が手に入らなかったために、ケン・クナブの英語訳( Situationist International Anthologi,Edited and translated by Ken Knabb’ Bureau of Public Secrets’1981 )から行ったが、つい最近、フランスで地下出版されている〈プティト・ビブリオテーク・アン・マル・ドロール〉のパンフレットの1つとしてこのテクストが公表された( Guy-ernest debord, pour un jugement révolutionnaire de l'art,Petite Bibliothèque en mal d'aurore, volume Hors série )ので、それも参照した。