資料

  • SIの状況についての報告

 私がここで言わなければならないことは、すでにSIの内部で広く議論されたことで、それゆえ、それゆえ、その意味を大部分なくしてしまったことを認めるにやぶさかではない。それについては諸君にお許し願いたい。SIを他の政治的問題と芸術的問題の総体のなかに「位置付ける」ために、提案したいことが3つある。
 基本的に、以下の3件について検討願いたい。
 a SIが物質的な設備の整った出会い(情熱であろうと告発であろうと)の場であること。わたしは「物質的な設備の整った」ということを強調する。
 b 基礎的な設備の準備段階(この段階は前シチュアシオニスト的とも、前芸術的とも形容できる)は資本主義的無意識行動によってコントロールされていること。
 c 基礎的設備とはシチュアシオニストの諸能力の編成に他ならないこと。

アッティラコターニィ

 今まで耳にしたことから受けた印象は、一言で言うと、ある種の悲観主義がSIの中にあって、これがドイツ・セクションの声明の中に色濃く現れているということです。しかしながら、われわれのスカンジナヴィアでの経験では、小さな集団でも、爆発力と本当の活動理論があれば、イギリスやドイツやフランスで考えられている以上のことができるのです。わたしは数年の間、労働者の文化活動組織で働きました。スカンジナヴィア諸国では労働者階級のために経済的余裕が作られたことで有名ですが、この経済的余裕がどのような文化的目的に利用できるかということは当然わかっていません。というのは、それは人生の意味という問題に関わってくるからです。それで当面の間、労働者には資本主義によって作られた文化が与えられています。なぜなら、それしかないからです。それが文化資本主義の産物に過ぎないことはよくわかっていますが、現代民主主義国では、左翼はこの産物の分配を組織することによって大きな利益を得ているのです。したがって、当然、左翼は本当の創造からは何の得るところもありません。
 SIがあれば、創造の可能性を生み出すことのできる、大きな浸透力を持った少人数の集団を生み出すことが可能になるでしょう。それはちょうど、文化の消費の可能性を広げるためだけに共産主義者が前衛グループを組織したのと同じことです。
 私自身、3年間、金属労働者組合の執行部にいました。2年前、スカンジナヴィア諸国の全労働組合組織の大会に参加しました。ある人の報告によると、完全雇用が恒常的に続いていて、ストライキがないために、ストライキ資金はこの10年間使われなかったそうです。スウェーデンは6万人の外国人労働者を受け入れてさえいました。ストライキ資金は、ドイツマルクに換算すると、3千万マルクもあったそうです。それでいて、この金をどうしたらいいのかわからないでいたのです。これがあの大会の大問題でした。
 SIは、こうしたこと一切を打倒するために、わたしが今言った集団が協力することのできる、初めての組織です。潜入という古き良き手段を使わなければなりません。これ以上によい手段はありません。文化省、ユネスコ、政府、労働組合、新聞社、放送局など――必要ならどこでも――、さまざまな種類の組織で、ひそかに活動することのできる、秘密会員を作ることをここで提案します。
 秘密会員であることで、彼らは、SIの公式メンバーであることが、知られている場合よりも、ずっと大きな行動の自由をすぐに得ることができるでしょう。この方法は、なかんずく無政府主義組合活動のある種の試みを実際に適用するものですが、必ずや効果をあげることでしょう。

ヨルゲン・ナッシュ

 第4回大会は以下のことを確認する。すなわち、1959年にSIによってアムステルダムに開設された「統一的都市計画研究所」は、その任に就いていたシチュアシオニストたちがSIに全面的に敵対する反動的な企てに参加したために、更迭を余儀なくされたので、維持が不可能になった。
 統一的都市計画の研究と応用作業を進めるために他のシチュアシオニストを任命することを取り決める
 大会は、SIが統一的都市計画研究所の所長として、A・コターニィを任命することを決議する。所長は大会に対して責任をとるものとする。
 この研究所の所在地をブリュッセル定める

  • 現代芸術院の前でSI第4回大会の名において行われた声明

 皆さん
 現代芸術院は「インターナショナル・シチュアシオニスム」運動の声明と予告しましたが、それは、われわれが現代芸術院に伝えた用語の使い方としてまちがっています。
 シチュアシオニスムは存在しません。このように呼ぶことのできる主義はありません。われわれがシチュアシオニストと呼ぶものは実際の経験であり、規律ある国際的な運動として組織されたものです。もし、皆さんがシチュアシオニスムは存在しないということを理解されたなら、それだけでも、今晩の時間を無駄にしなかったことになるでしょう。もし、そのうえ、何か他のことを理解されるなら、皆さんは余得を得て帰宅されることになります。
 まず第1に、われわれが今作ることのできるいかなる作品もシチュアシオニストの段階に達していないということを考えていただきたい。われわれは共同して、最初の前シチュアシオニスト的総体を近い将来実現しようとしているだけです。シチュアシオニスト運動は物質的設備を備えた新しい情熱としてとらえることができます。われわれは新たな革命勢力なのです。放棄される他の人々によって横取りされた、革命的な過去を、われわれ以外の誰が、全面的に所有することができましょうか。
 われわれは、芸術上の問題のまわりで言葉を芸術的に使う趣味はありません。芸術上の問題はもっと底が深いのです。われわれはとりわけ行動に関心があります。もし、おしゃべりをなくすならば、少なくとも、胸をわくわくさせる町を作り出すことができるでしょう。われわれは環境を創造することができる。あなた方が感じている退屈から人々の振る舞いを解放することができるのです。
 皆さん
 シチュアシオニスト・インターナショナルの第4回大会は、ライムハウスの英国海員組合会館で、9月24日から今日まで、ドイツ、フランス、デンマークスウェーデン、オランダ、ベルギー、ハンガリーの各セクションの代表を集めて開かれました。アレクサンダー・トロッチがアメリカで破廉恥にも逮捕されたために、イギリス・セクションが代表を出すのを妨げられたことを、われわれは深く遺憾に思います。
 ここで、シチュアシオニスト・インターナショナル大会に付され、全会一致で採択された宣言を読み上げます。

モーリス・ヴィッカール

 アレクサンダー・トロッチの投獄に関するロンドン大会の決議はシチュアシオニスト情報のページを参照のこと。