1つの時代の始まり その1
*1:アンリ・ルフェーヴル(1901-91年) フランスの社会学者。1930年代にマルクス主義に接近し、58年にスターリン批判と共産党のアルジェリア政策批判を軸とした雑誌『レタンセル(火花)』を発行してフランス共産党を除名されるまで、党の理論家の一人として活動。高度資本主義社会の日常生活を社会学的に研究し、正統派マルクス主義の変更を迫る大著『日常生活批判』(第1部、 1958、第2部、61年。その『序説』 は1974年に発表)や、スターリン主義を告発した『マルクス主義の当面の諸問題』(58年)により、左翼・知識人から芸術家までに大きな影響を与えた。 50年代末から60年代にかけては、雑誌『アルギュマン』に協力しつつ都市論や大衆社会論に関心を向けはじめ、シチュアシオニストとも交流、『現代への序説』、『総和と余剰』、『ひとつの立場── テクノクラートに抗して』などのなかで、頻繁SIに言及している。しかし、『コミューンの宣言』(邦題『パリ・ コミューン』)で、ドゥボールらの書いたテーゼを盗用したことをきっかけに、SIから断交を言い渡され、その後、厳しく批判されることになった。
*2:『ひとつの立場──テクノクラートに抗して』 「構造主義」を批判したアンリ・ ルフェーヴルの1967年の著作。邦訳、 白井健三郎訳、紀伊国屋書店、1970年。正式のタイトルは『ひとつの立場──テクノクラートに抗して/虚構としての人間性と縁を切ること』で、「管理された官僚主義的消費社会」とそれを支える「テクノクラート」(技術官僚)を 批判し、60年代に流行した「構造主義」 もまたこのテクノクラシー的状況と密接に関わるものとして批判、これに日常性 の変革というマルクス主義的実践を対置 した。SIについての言及は、こうした「実践」の一具体例として、その第1章「反ー体系」の中に出てくる(邦訳、 270-271頁)。
*3:1871年3月18日 この日、プロイセン軍に包囲されたパリで、パリの労働者からなる国防中央委員会の武装解除を行おうとしたティエール政府軍に対して、 パリの民衆が決起し、政府軍を追い出し国防中央委員会パリの権力を掌握した。196頁の「国防中央委員会」の注を参照。